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績(せき)
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ニア好き・ワイミ好き。
ニアが女の子だったらよかったのにと思ったり思わなかったり。
カプ的にはメロニア派だが、それでSSを書く可能性は大変低いと思われる。










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非公認Fanブログ。今さらデスノ語り。二次創作小説もちょっぴり。(カテゴリの小説&小ネタ一覧からどうぞ)
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*清水玲子先生の『秘密─トップシークレット─』とのダブルパロです。
*───が、どちらの原作の登場人物も出てきません。オリキャラのみです。
*けっこう長いんですが、ブツ切りなので『小ネタ』分類です。
*小説カテゴリの『最後の問い~』と、関係あるよなないような。
 
以上をご了解いただけた場合のみ、先へお進みくださいませ~。
 
※ 8月8日微修正しました。
 

 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
『秘密』
 
 
 
 
 
 通された部屋に設置された機械群の威容に、黒髪の男の口から思わず声が漏れた。
 「これが……」
 「そう。MRIです」
 答える金髪の男の声は、自信と誇りに満ち溢れていた。
 ───少々うっとうしすぎるくらいに。
 しかし無論そんなことはおくびにも出さず、黒髪の男は視線だけで続きを促す。
 「あなたならご存知でしょうが………『MRI捜査』とは、わが国が開発した、まったく新しい科学捜査です。
 死体から取り出した脳に電気刺激を与え、通常では5%から10%しか働いていない脳を120%まで働かせ、死者が生前に『見ていた』映像をMRIスキャナーで再現し、それを基に捜査を行うわけです。現在のところ、死後、最大5年前までの記憶の映像化に成功しています」
 「……噂以上ですね」
 黒髪の男の声には、まぎれもない感嘆の響きがあった。
 「これほどの機械ができたのであれば、過去のものも含め、Cold Case(未解決事件)など、よほどのことがない限り無くなるでしょう」
 「いやいやいや」
 首を振る男の声音にも態度にもまんざらではない色合いがにじみ出ていたが、だからこそ余計に、続く言葉は悔しげだった。
 「MRIといえども万能ではないのですよ。
 まず、捜査対象となる脳は損傷があっては使い物になりません。そして、死後10時間以内に死体から取り出された新鮮な脳であること。この二つは必須条件です。
 また、音声が再現されないため、捜査には読唇術が不可欠です。
 そして何より、この装置の存在が公になれば、倫理委員会だの人権団体だのがプライバシーの侵害だのを訴えて発狂するでしょう。国の大儀より個人の保護が大切だなどとほざいて、自分たちが正義のヒーローになったつもりでいる連中ですからね」
 あいつらのおかげでどれほどの有効な科学的成果が陽の目を見ずに封印されてしまったことか───と、別の方向に流れかけてきた話題を、黒髪の男がやんわりと引き戻す。
 「それで………私へのご依頼というのは?」
 「……ああ、そうでした」
 金髪の男が黒髪の男に向きなおる。
 「探し出し、手に入れていただきたいものがあるのです」
 ちろりと、わずかに出た舌の先端が唇をしめらせた。
 「───L、の脳を」
 
 
 「───私は、殺し屋ではありませんが」
 「当然です。誰もあなたに犯罪を犯せなどとは」
 わざとらしく金髪男が笑う。
 「……あなたはLの居場所を確認して、我々に知らせてくださるだけでよいのです。もちろん、L自身を───あるいはその脳を───持参していただければ、報酬はその状態に応じて23倍になることはお約束いたします」
 「…………」
 すでに『L』をモノ扱いしていることに、金髪の男自身は気づいているのだろうか。
 それはさておき───と、黒髪の男は考えた。『Lの脳』を欲する理由を。
 この国は───政府をはじめ、政治家、機関等、Lに依頼をしたことのある者は数知れないに違いない。Lにとってはお得意さまと言ってもいいくらいだろう。
 ───逆にいえば、Lに秘密を───過去の失態やさまざまな内部の情報を知られているということでもある。
 そんな存在には消えてしまってもらいたいのが本音だろう。これほどの装置ができたのなら、Lに依頼せねばならぬことなどほとんどゼロになるだろうし───と、期待していることだろうし。
 そしてLが依頼を受けてきたのはこの国からばかりではない。およそ世界中の国々が、最低でも1度はなんらかの依頼をしたことがあるはずだ。
 最近の5年分のみということだからすべての国のというわけにはいかないだろうが、それでも多くの国の秘密を、Lにかわって手に入れることになる。
 どちらか片方だけでも充分すぎる理由なのに、その両方がそろっているときたものだ。
 あまりのわかりやすさに、黒髪の男は内心ため息をつく。
 ───しかし、金髪の男が語った動機は、その予想の斜め上を行った。
 
 
 「キラ事件をご存知でしょう?」
 突然出た名称の突飛さに、思わず瞬きをひとつ。
 そのことに気づいているのかいないのか、金髪の男は言葉を続けた。
 「もう20年近く前にもなりますが、『キラ』と名乗る者が世界中の犯罪者と、『キラ』を捕らえようとした警察関係者を心臓麻痺で殺した、実に不可解な事件です。
 Lがこの事件に乗り出し、約6年に及ぶ捜査の果て、『キラの裁き』と呼ばれた殺人は突然止まりました。
 キラは死んだとも、未だにLに拘束されているのだとも言われていますが、真相はわかりません。
 わが国にさえ、当時、Lから『とりあえず終わりました。近日中にお借りしていた捜査員をお返しします』という連絡があっただけだそうですから」
 もちろんそんなことは知っている。
 『裁き』とやらが止まった後もキラを教祖と仰ぐカルト集団が世界各地に存在し、大なり小なり騒動を起こしたり起こさなかったりしたが、今となってはそのほとんどが解散し、うさんくさいTV番組でたまに取り上げられるだけの風化したものになっていることも。
 どうしてそんなケース(事件)を、今ここで持ち出す必要があるのか。
 「キラの生死や正体もさることながら、最大の謎は、『キラの裁き』の方法です。いったい彼───彼女かも知れませんが───はどうやって、世界各地の人間をほぼ同時に殺すことができたのか……」
 ふいに金髪の男が顔を寄せてきた。
 とっておきの秘密を教えてやると言いたげに、声を低めて仰々しく続ける。
 「実はですね……『キラの裁き』は、あるアイテム(道具)によって行われていたらしいのですよ」
 「………ほう」
 「キラが生きているかどうかはともかく、少なくともそのアイテムが使えない状態に、現在おかれているということは間違いありません。
 キラのプロファイリングも専門家達に何度となく行わせましたが、これほどの長期間に渡って『裁き』がまったくおこっていないということは、そういうことだろうと。キラの性格からして、『しない』のではなく、『できない』のだろうと。そういう回答でした。」
 「おそらくは、そうでしょうね」
 「……では、その、アイテムとやらはどうなったんです?」
 「……さあ?」
 金髪の男は、舌なめずりせんばかりの表情でさらに顔を寄せ、ささやいた。
 「我々はですね…………Lが所持していると考えているのですよ。」
 「………」
 「彼が殺───いえいえ、捕らえたか死んだかしたキラから奪って、持っているのだと」
 「………」
 「今までのところ、Lがそのアイテムを使った形跡は無い……。
 と言ったところで、結局まったく実体がわからないので、本当に使ったことがないのかどうかもわかりませんしね。
 どう思われます? いくら世界最高の頭脳と言われる人物だからといって、個人がそんなアイテムを所持しているなんて、非常に危険な事態ではないですか?
 やはり我が国のようなところが所持し、何者にも使用されるよう、厳重に保管すべきだと思われませんか?」
 「………」
 「……無論、キラがそのアイテムを使えないのは、そのアイテムが何らかの理由で壊れてしまったからだという可能性もあるわけですが。
 それならそれで、その部品は回収しておきませんと。キラ───あるいはLに限らず、何者かがそれを研究して新たに作り直す……ということも、無いとは限りませんから」
 「………」
 黒髪の男が途中からずっと無言だったのは、何も金髪の男の言い分に共感していたからではない。
 本気で呆れていたからだったが、金髪の男が気づくはずもなく。滔々と、自国の国がその───実在するかどうかも知れたものではない『秘密のアイテム』を所持する正当性について語り続けていた。
 (つまり、Lが持っていると思われる───と、彼らが勝手に決めつけている───自国と他国の秘密のみならず、その『秘密のアイテム』だか『アイテムの秘密』だかも、『Lの脳』ひとつを手に入れることで手に入れようとしているわけだ)
 どこまで貪欲なのかと呆れつつもある意味感心しつつ、『L』もえらいことになったものだとひとごとのようにこっそり苦笑をもらす。
 「そういうわけで───」
 その苦笑が聞こえたわけでもないだろうに、絶妙のタイミングで金髪の男が振り返る。
 そして決定事項を確認するように、高らかに告げた。
 「この依頼、お引き受けくださいますね? ───ミスター・エラルド・コイル」
 
 
 
───(続きません)
 
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